急流救助の難しさ
急流の事故には、急流ゆえの困難な問題を多く抱えています。
多くの場合岸からは手の届かない川の中で発生し、流れが速く事故の現場に到達するのに困難を極め、被害者は強大な水圧に押されて身動きできない状態のことが多く、さらに呼吸さえも確保できない状態では、気長に救助隊の到着を待つという時間的余裕さえも奪われてしまうことが多いものです。過酷な状況で、限られた時間に、限られた人員で、限られた機材という悪条件の固まりの中で、二次遭難の危険を排除しながら被害者を救うということは、簡単に出来ることではありません。
レスキューの鉄則
以上述べましたように急流救助には難しさと危険が常に付いて回るということを念頭に置いた上で、それでもなお、あなたの目の前で今まさに緊急事態が起こっているとしたら、危険だからといって何もせずに放っておくことは出来ないでしょう。でも正義心だけに駆られて後先考えずに、いきなり急流に飛び込むのは、それこそ二重遭難の恐れが出てきます。万一そんなケースにあなたが出くわしてしまったら、ぜひ以下の「レスキューの鉄則」を思い出して下さい、その上で自分やチームの能力の限界の範囲内で、あらゆる可能性を探りながら、レスキューに当たることが最善の取るべき道だと考えます。
一人の命<二人の命
一人の人間として、さらに伝統的に”義”を尊び、”個”より組織、団体の利益を優先させる国民性の日本人においてはとくに、今まさに”生”か”死”かの境目にいる友人を目の前にしては、一人の命<二人の命というとてつもなく大きな問題を、冷静に受け入れることはほとんど不可能に近いかもしれません。しかし現実にはそのことを受け入れざるを得ない状況があるかもしれません、それが命の重さだと思います。そのことを踏まえた上で、
鉄則その1
レスキュー行動を起こす前に必ず確認しなければならないこと
1 自分の安全が確保できるか?
2 チームのメンバーの安全が確保できるか?
3 その上で実際のレスキュー行動に移る。
レスキュー行動を起こすことによりさらなる危険を引き起こすことがないか、冷静に判断した上で行動を起こします。
この確認を怠って行動した場合、より困難な状況を引き起こす可能性が非常に高いと言えます。
鉄則その2
1 Low Risk〜High Risk
レスキューの方法はあらゆる可能性を考えた上で、出来る限りリスクの低い方法から取り入れていきます。具体的には
| Reach |
川岸から被害者に何かを差し伸べる。
ロープ、パドル、衣服、木の枝その他届くもの何でも利用します。救助する人はアクシデントが起こらない限り水の中に入らないので、明らかにリスクは低いと考えられます。 |
| Throw |
何らかの浮力体を投げる。
川における浮力体とは、普通スローバッグのことを指します。 |
| Row |
ボートを利用したレスキュー。
自分たちが使っているラフト、カヤック、カヌーのことです。 |
| Go&Tow |
Go:救助者が水中の被害者に接触する。
Tow:水中での牽引。
GoとTowは、救助者が水中で被害者に接触するコンタクト・レスキューです。毎年多くの人が誰かを助けようとして水死しています、これは急流でそのようなことを行うことが、高いリスクをともなっていることを示しています。よりリスクの低い方法が全て失敗したあとで、この方法が決断されるべきなのです。 |
というように、出来る限りリスクの低い方法からあらゆる可能性を探り、それが失敗したときのために次に取るべきバックアップ・プランを考えながら進めて行くべきなのです。
具体的なレスキュー法については、レスキュー全般に精通した、優れた指導者のもとで、体験を交えて訓練しない限り、文章や写真の説明だけではとても理解できないばかりか、かえって読者の方を危険な状況に落とし入れる結果にもなりかねません。ですからセルフ・レスキューとしての「スイミング法」と比較的取り扱いが容易で、且つ実際のフィールドで活用される可能性の高い「スローバッグ」の取り扱いに絞って説明します。それ以上の専門的なレスキュー法については、私の執筆能力が読者の方を危険にさらすことなく100%間違いなく伝えられるようアップされることが有れば、その時点で書き加えることがあるかもしれませんが、現時点ではその自信はまったくありません。 ぜひ専門的なトレーニング(Rescue3など)を受講されることをお薦めします。 |